令和7年度の税制改正では、給与所得控除額や基礎控除額の増額、扶養親族等の所得要件の引き上げなどの改正に伴い、年末調整の際には新たに扶養控除等の対象者が増え、12月1日以後に扶養控除等申告書を訂正するなどの事務が増加し、担当者の負担が増えるのでないかと危惧しています。

 今回、国税庁から公表されたQ&Aでは、年末調整等の際に特に留意すべき事項36問が搭載されています。一読した中で、要点は次の内容でないかと思います。

 

① 基礎控除(95万円~58万円)

 所得金額に応じて控除額が変動する。非居住者は一律58万円。

② 給与所得控除額(最低保障額65万円)

 給与所得控除額が従来と変更となるのは、給与収入が190万円以下の人だけ。

③ 扶養親族等の所得要件(58万円に引き上げ)

 これまでの、扶養(配偶者)控除額=基礎控除額=所得要件=48万円という関係が崩れることから、所得要件は 所得控除の金額とは切り離して理解する必要があります。

④ 特定親族特別控除

 19歳~23歳までの親族については、所得要件の58万円を超えていても、所得金額123万円までは、特定親族特別控除が受けられる。(所得金額が多いほど控除額は低減するので、従来の配偶者特別控除に仕組みが似ている。)

⑤ 源泉控除対象扶養親族

 令和8年分の扶養控除等申告書を記載する場合、従来の扶養親族に加え、19歳~23歳までの親族については、所得要件を超えていても、年間の所得金額の見積額が58万円~100万円であれば、源泉控除対象扶養親族としてカウントする。

 今回のQ&Aについては、他にも留意すべき点があるので、早めに一読することをお勧めします。

参考:令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A(令和7年5月)

その他参考:令和7年4月源泉所得税の改正のあらまし

 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(令和7年4月)