先日(10月25日)、日経新聞に会計検査院の調査で訪日客9名が免税物品を総額33億円余り購入し、納付すべき税額3億4千万円を税関で追徴せずに出国させていた記事が出ていました。また一方で輸出物品販売場では、本来日本に来た旅行者のお土産等について消費税を免税にするというものですが、数年来これが悪用されて、転売目的の業者などが免税で購入する例が後を絶たないようです。コロナ前は、インバウンド需要を支えていた面もあり、販売場によっては、相手が旅行者でないことがわかっていながらあえて販売したりして、あとで国税局等から追徴課税を受けたケースも新聞等で何度か報道されていました。
国税庁もいろいろな対策を試みたものの、一旦免税で販売した後に出国時に税関で補足することは事実上不可能に近く、令和6年の税制改正大綱において出国時に免税販売が成立するものと制度の見直しが行われ、令和7年の税制改正大綱において結論を出すようです。
そもそも、諸外国でのこれらに対する対応が一旦国内では課税物品として販売し、税関で免税として消費税を還付している国が多いことを考えると、こういった問題が起こりうることは、当初から予想されていたことではないでしょうか。件数や金額がそれほどでなければ、インパウンドの需要を喚起し、経済も潤うと考えたのでしょう。しかしながら、文化や法制度の異なる諸外国の観光客(?)に日本人と同様のモラルがあると考えることこそ浅薄な考えであり、制度設計するにあたっては、この問題にかかわらず、諸外国の対応をよく見て、日本の制度が他国からなめられないよう対策していただきたいものです。