昭和40年代の終わりの頃でしたか、高知の高校の寮に入っていて、学校までの通学途中に信号のない横断歩道を渡る必要があり、朝の通学時は通勤の車も多く、なかなか車が切れずに時間がかかっておりました。よく止まってくれるのは、清掃車の運転手さんたちだと、友人とも話しておりました。
ある日、寮の夕礼で先生が「道路を横断する際に、車がとまってくれた場合は帽子を取って挨拶して渡りなさい。」と教示され、早速生徒たちが実行すると、徐々に車が止まってくれる回数も増え、次第に通勤の車が我先に止まってくれるようになりました。横断する生徒の隊列が学生帽をとって深々お辞儀して横断する様を、通勤のドライバーも見たかったのでしょう、生徒が一人でも立っているとすぐに止まってくれるようになりました。 人が相手の些細な好意に対しても礼を返すということは、人間関係を円滑にする秘訣なのかもしれません。